健康な肌には、角層(皮膚の一番外側)による「バリア機能」が備わっており、水分の蒸発や外部からの刺激を阻止し、皮膚を守ってくれています。しかし、皮脂や天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質(セラミド)など、皮膚内の水分を保つ物質が不足して皮膚がカサカサと乾燥した状態(ドライスキン)になると、角層が剥がれて隙間が生まれ、微生物や化学物質、紫外線、摩擦などによる刺激を容易に受けるようになってしまいます。ここで大切になってくるのが、保湿剤によるスキンケアです。
保湿剤は、皮膚の水分が逃げないように表面に膜をつくったり、皮膚に水分を与えたりしてくれます。ご自身のお肌に合った保湿剤を毎日塗って、皮膚の健康を守りましょう。
保湿剤の使用にあたっては、皮膚がやや湿っている時に塗るのが効果的なので、例えば入浴後5分以内に塗るのがお勧めです。
また、保湿剤を塗る前に、化粧水などでお肌を軽く湿らせておくと、より保湿効果が得やすくなります。塗る際には、手のひら全体を使って、やさしく丁寧に広げましょう。お肌がしっとりするくらいまで塗るのが、大まかな塗布量の目安です。
アトピー性皮膚炎は、慢性的に経過する疾患で、かゆみを伴います。その根本には、皮膚の乾燥とバリア機能の異常があり、そこに様々な刺激やアレルギー反応が加わることによって発症すると考えられています。アトピー性皮膚炎に対しては、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などによる外用治療や内服治療、および適切なスキンケアを行うことによって、良好にコントロールすることを目指して治療していきます。
水虫は足白癬といい、足に起こる白癬のことです。白癬とは皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌(カビ)によって生じる感染症で、多くは家庭内の足拭きマットやスリッパなどによって感染しておこります。
通常の白癬は、抗真菌作用のある塗り薬をつけていれば治りますが、角層が肥厚している角質増殖型と呼ばれるタイプや白癬菌が爪に寄生している場合には、内服薬や特殊な外用剤を用いる必要があります。患者さまの症状によって治療は変わりますので、一度診察させていただいたうえで判断を行います。
湿疹は、かゆみや赤みを伴うブツブツという形で現れ皮フ科を受診される患者さまによくみられます。原因としては、花粉、細菌、ハウスダスト、薬剤などの外的要因、およびアレルギー、発汗、皮脂の状態、内臓疾患などの内的要因が絡み合って発症すると考えられています。湿疹によって皮膚を引っ搔いてさらに悪化させてしまうこともしばしばみられます。内服薬や外用剤によってこれらの悪循環を止めることが必要になります。
乾癬は慢性の皮膚疾患で、典型的な症状としては、まず皮膚が赤くなって盛り上がり(紅斑)、徐々にその表面が銀白色の細かいかさぶたで覆われ、やがてそれがフケのように剥がれ落ちてきます。
紅斑の大きさや形は不揃いで、かゆみは約半数の患者さんにみられます。
他人にうつることはありません。
乾癬に対する根本的な治療はありませんが適切な治療を行うことにより症状を抑えることができます。
いぼは、皮膚から盛り上がっている小さなできもの全般を指す俗称であり、専門的に言えば、様々な皮膚疾患を含んでいます。ごく普通のいぼは、表皮細胞のウイルス感染によるもので、ウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれます。
いぼの治療には、液体窒素を用いた冷凍凝固療法やヨクイニン内服療法や外用療法などがあり、個々の患者さんに一番相応しい方法を選択します。
虫さされによる皮膚症状には、大きく言うと「痛み」と「かゆみ」の2つがあります。
痛みには、虫が刺したり咬んだりすることによる物理的な痛みと、皮膚に注入された物質の化学的刺激による痛みがあります。
かゆみは、皮膚に注入された物質(毒や唾液など)に対するアレルギー反応によって生じます。虫さされ治療は、軽ければ市販のかゆみ止めを外用するだけでもよいですが、かゆみや赤みが強い場合はステロイド剤の外用や抗ヒスタミン剤の内服が必要で、場合によってはステロイド剤の内服を行うこともあります。
症状が強い場合は、皮膚科を受診しましょう。
かぶれには、刺激性とアレルギー性の2種類があります。
刺激性のかぶれは原因物質と接触してから比較的早い時期に発症し、皮膚炎は接触部位に限られます。初めて接触した物質でも起こります。
アレルギー性のかぶれはかゆみが強く、接触部位以外にも皮膚炎が広がります。初めて接触した物質では起こりません。
かぶれの原因物質や症状によって治療は異なりますので、一度診察することが必要となります。